信頼関係を築ける犬のしつけ
街中や公園で、飼い主さんと愛犬がぴったりと寄り添って行儀よく歩いているのを見ると微笑ましく感じられるものですね。そのような関係性は飼い主と犬とがお互いに強く信頼し合っていることが基盤になっています。
いったいどのようにしたら、強い信頼関係を築ける犬のしつけができるようになるのでしょうか。まず犬のしつけの根本となっている二つの学術的理論を理解する必要があります。
古典的条件付け
古典的条件付けとは、「パブロフの犬」の話で有名なロシアの生理学者イワン・パブロフによって1903年に構築された理論です。彼は、犬に餌を与える前に毎回ベルの音を鳴らすことで、次第にベルの音を聞くだけで唾液を分泌するようになるという「条件反射」を研究観察しました。これを一般化すると、「生理的反応を起こさないような刺激(中性刺激)を与えた後に、生理的反応を引き起こすような刺激を加え続けると、そのうち中性刺激だけで生理的反応が生じるようになる」という現象になります。
これを応用して、リードをつけたがらない犬には、リードをつけた直後におやつをあげる。チャイムが鳴ると激しく吠え続ける犬には、チャイムが鳴った直後におやつをあげる。ということを繰り返すと、リードをつける、もしくはチャイムが鳴ると嬉しいことが起きる。という記憶が残り、大人しく従ってくれるようになり、無駄吠えしなくなるようにしつけていくことが出来ます。
オペラント条件付け
オペラント条件付けとは、1938年にバラス・スキナーが実験研究により提唱した理論です。犬の自発的行動に対して、プラスもしくはマイナスのことが起きるという状況変化によって、自発的行動の頻度が増減することをいいます。
例えば、犬が飼い主のそばで自発的におすわりするたびに餌をあげるという行動を繰り返すと、おすわりすると餌がもらえるということを学習し、いずれ自発的におすわりする頻度が増えていきます。良いことを行ったあとでほめる。もしくは、悪いことを行なったあとでしかる。という犬の能動的な行動にどう反応するかということで犬は学習し、しつけていくことが可能になるのです。
良いコミュニケーションが大切
以上のように、犬の学習能力とそれに沿った学術的理論を応用して犬をしつけていくことが可能であることがわかりました。忘れてはならない点として、理論にもまして大切なのは日頃からのお互いのコミュニケーションです。人間同士でも指示を与える人との日頃からの関係が良好かどうかで、従いやすいかどうかが変わってくるのと同じように、犬と人間との間にも良い関係を築いていくことが必要です。
日頃から名前を呼んでアイコンタクトをとるなどして互いの関係を密接にしていくなら、しつけ理論の応用も潤滑に進んでいくことでしょう。犬はあなたのことを喜ばせようといっそう努力してくれるに違いありません。また、飼い主家族の間でもよくコミュニケーションをとることが必要でしょう。ある時にはその家族の子どもに褒められた行動が、次に親の前で同じことをしたときは怒られる。となると、犬は混乱し不安になって何が正しいことなのかわからなくなってしまいます。号令に関しても、「おすわり」なのか「シット」なのか統一することが望ましいでしょう。
まとめ
信頼関係を築ける犬のしつけには、二つの基本的な学術的理論と、犬と人間との密接なコミュニケーションが大切であるとこがわかりました。このような知識は、ドッグトレーナーになるためにはもちろんのこと、ペットショップでアルバイトをしている方たちにも大いに役立つことでしょう。
大切な愛犬と長く生活を楽しむために、上手にしつけて、良い関係を築いていきましょう。
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